2013年11月25日月曜日

価値と価格



  価格は農家への報酬の大きな目安になると思います。

 

  慣行野菜は、市場で規格(大きさ)、見た目で価格が大きく違います。

 
 

 需要と供給とバランスで価格が変動するにしても、はっきりした基準が存在します。


 そのおかげで良いものと良くないものの差がはっきりしています。


 その為、決まった基準で評価されるものを効率よく大量に作ることに農家は力を注ぎます。


 その基準に品種や鮮度は多少あっっても味の違いは関係ありません。



 その一方で有機野菜は一定の基準がありません。


 
 
 出荷の基準は、ほぼ自分の倫理観で決められることが多いように思います。
 


 卸の世界でも規格や見た目は直販より厳しいにせよ、下限の基準(出荷不能)以下に


 ならなければいいと思う人も少なくありません。


  現に、直販で売れないものを卸にまわしたり、その逆が合ったり、市場でB品になるものを


 価格が決まった契約栽培に流したりすることもあるようです。


  同時期に同程度のブロッコリーを300円で販売する農家もいれば、150円で売る農家もいる。


 

 価格だけでものの良し悪しを計れないのも、有機野菜の問題点であるように思います。





 有機栽培は、旬のものをおいしく、見た目も美しい野菜を作れる技術だと考えています。



 その良さを生かすためにも、効率や大量に作ることは最優先にはできません。


 

 その分は価格が高くなってしまうのは当然だと思います。


 

 しかし、それは作り方に価値があるのでなく、できた商品(旬でおいしくて美しい野菜)に



 こそ価値があると私は考えています。



 それが真っ当に評価されるように尽力を尽くしたいです。



 



 


 


2013年11月24日日曜日

その瞬間


土って生きてる。生き物の塊。


土1gに数十億にも及ぶ生物が存在しているそうです。

まだまだ、土壌は未知な世界であることは簡単に想像できます。



そんな複雑な関わり合いがひしめく中で野菜は育ちます。


基本、野菜の栽培は減点方式だと考えています。


野菜は野の草と違い、種をまき、適切に管理して出来上がる植物です。


ミスなく、順調に育てたいと思うのが親心です。



土の力を最大限生かし、生態系を上手に利用し、おいしい野菜を育てられるのが


有機栽培だと考えています。



作りたがりを自他ともに認める私としては、経営の支障の出ない範囲なら作ることに


できるだけ関与したいと思っています。その一つに畑に入れる肥料は自前で作りたい


と思って続けてきました。


正直、自作の肥料で、成分上、微生物上、など何がよく作用しているのかはっきりは


断定できません。もしかしたら、もてあまる意欲が作用しているのかもしれません(笑)



しかし、野菜とて生き物、応えてくれるように感じます。


そんな想いが結果として結びついた時は生産者冥利に尽きます。


そんな瞬間を感じたくて畑にでているような気もします。






















2013年11月22日金曜日

農家の喜び



 自分の生命線はものの良さだと肝に据えながらやっています。


就農時、直販やマーケットの時間や手間を取ることで野菜の品質を上げることが自分は

困難だと考え、卸の販売形態に身を置きました。


生産団体の中で決まった規格、決められた時期に、良い商品を鮮度よく出荷することに

集中してやってきました。


12年やってきて、思うことがあります。


おいしい良い野菜が正当に評価されていない。


一昔前は有機農業の世界では、ものの良さで価値を計ることは浅はかだと思われる空気が

ありました。

最近では商品の良さはあくまでも一部で、見せ方や伝え方に重心を置く傾向も強くあるように

思います。


卸の世界では、味の良さや出来の程度で価値を計ることより、出荷数や卸価格で判断される

ことが多くあります。


しかし、買い手と売り手との信頼関係の根本は、野菜そのものだと考えています。


手品のように価値のないものをあるように見せる売り方や、出荷数や低価格が重視される


ような価値の計り方は全体の価値を下げかねないと思います。



たかが野菜ですが私から見ればその中には大きなふり幅があります。



単純においしい人参もあればおいしくない人参もある。


おいしい人参とおいしくない人参とでは、食べる方にとっては価値は大きく違うはずです。


持ちのいい野菜がいいはずでしょうし、虫食いもない方がいいと思うでは当然でしょう。


そんな野菜の価値を見直すと、まだまだ野菜のポテンシャルを伝えきれていないと思います。


おいしい野菜ってあるんです。



「あなたのカブ、この時期に出てくるだよね。楽しみに待ってるよ」


と言っていただける期待に素直に答えていきたい。



おいしいと感じてもらえるように生産し、出荷することに喜びを感じられる農業ができるように


 
していきたいと思っています。