2014年1月31日金曜日

地道な仕事


小学生の頃から農家に憧れ、右往左往しながらやっと25歳の時に農業界に


飛び込むことができました。


あれから13年。


研修先を決めた時も、家や畑も決めた時も、結婚した時も、みみずの会(出荷団体)に


入れた時も、借金して新品のトラクターを買った時も、畑に井戸を掘った時も


「どっちにしようかな~?」みたいな悠長な選択の余地はなかったように思います。



川に流れに任せながら必死でパドルを漕いでいる青年は、周りから見れば普通に


溺れている青年に見えたのだと思います。その青年に見かねた皆さんが助け舟を


出してくれたおかげで、降りてきたチャンスを見逃さずに掴め、生き延びれたのだと思います。



生き残れた今、日々感じることは


私の仕事は、野菜の種一粒ずつまき、管理し一つずつ収穫して袋詰めして売ることでしか


売り上げがたたない地道な仕事だということ。


例えば、100万円の売り上げを上げるのには、100円の野菜を1万個出荷しなければ


いけません。


しかし、そんな毎日の積み重ねこそが、私の仕事だと考えています。


その積み重ねの中で、成長できることが楽しいと感じられます。


そして、そんな積み重ねの中にしかチャンスはないと信じています。



今回、作業場を新設することになり、たくさん考えましたが、やっぱり選択の余地は


ない気がします。次の駅に行くために必要な通過駅だと確信しています。


到達駅はまだまだ遠い先ですが、今ある現状に感謝しつつ、出てきたチャンスは掴んで


しぶとく生き残っていきたいです。




2013年12月14日土曜日

新しい価値の芽生え



  
  昨晩、ひょんなことから塾のゲスト講師として公民の授業をしてきました。


  内容は農産物の価格と価値についてで、リアルな現場で起きていることを話してきました。


  

  「みんなが今、価値を感じているものってなんですか?」


  勉強ができることになること、スポーツが上達すること、モテるようになること


  そんなことではないような感じでした。


  もしかしたら、わかりやすい価値ではないのかもしれません。



  20年前の学生の価値と現在の学生の価値では違うのだと思います。



  20年前に携帯電話がこんなに価値のあるものになるとは思いもつきませんでした。



  でもその当時からその世界では試行錯誤を繰り返し、今の価値あるかたちに繋がった



  のだろうと想像できます。



  これからの自分の経営を想像してみると



  売り上げが5000万円になることに価値を感じられるか? 



  充実した高価な設備に囲まれ、安定生産できる農業に価値を感じられるか? 



  その為の手段や結果がそうなることはあったとしても、それ自体が人生をかける価値



  にはとても値しません。


  

  38歳の私は、野菜の価値をいかに上げられるか、新しい価値をどう提供できるかを


  

  大きな価値として考えています。



  普段、畑に出て感動すること、野菜に対して心から萌えること、作物の管理に熱くなれる



  ことは大きな価値に繋がる種だと思います。



  小さい頃から農家に憧れ、その仕事について12年。



  農業に対して、自分が幼い心に感じた価値をそろそろかたちにする準備が整った



  ようです。



  これから色々とご協力ください。よろしくお願いします。
  
  

  




  



  


  



  
 

2013年11月25日月曜日

価値と価格



  価格は農家への報酬の大きな目安になると思います。

 

  慣行野菜は、市場で規格(大きさ)、見た目で価格が大きく違います。

 
 

 需要と供給とバランスで価格が変動するにしても、はっきりした基準が存在します。


 そのおかげで良いものと良くないものの差がはっきりしています。


 その為、決まった基準で評価されるものを効率よく大量に作ることに農家は力を注ぎます。


 その基準に品種や鮮度は多少あっっても味の違いは関係ありません。



 その一方で有機野菜は一定の基準がありません。


 
 
 出荷の基準は、ほぼ自分の倫理観で決められることが多いように思います。
 


 卸の世界でも規格や見た目は直販より厳しいにせよ、下限の基準(出荷不能)以下に


 ならなければいいと思う人も少なくありません。


  現に、直販で売れないものを卸にまわしたり、その逆が合ったり、市場でB品になるものを


 価格が決まった契約栽培に流したりすることもあるようです。


  同時期に同程度のブロッコリーを300円で販売する農家もいれば、150円で売る農家もいる。


 

 価格だけでものの良し悪しを計れないのも、有機野菜の問題点であるように思います。





 有機栽培は、旬のものをおいしく、見た目も美しい野菜を作れる技術だと考えています。



 その良さを生かすためにも、効率や大量に作ることは最優先にはできません。


 

 その分は価格が高くなってしまうのは当然だと思います。


 

 しかし、それは作り方に価値があるのでなく、できた商品(旬でおいしくて美しい野菜)に



 こそ価値があると私は考えています。



 それが真っ当に評価されるように尽力を尽くしたいです。



 



 


 


2013年11月24日日曜日

その瞬間


土って生きてる。生き物の塊。


土1gに数十億にも及ぶ生物が存在しているそうです。

まだまだ、土壌は未知な世界であることは簡単に想像できます。



そんな複雑な関わり合いがひしめく中で野菜は育ちます。


基本、野菜の栽培は減点方式だと考えています。


野菜は野の草と違い、種をまき、適切に管理して出来上がる植物です。


ミスなく、順調に育てたいと思うのが親心です。



土の力を最大限生かし、生態系を上手に利用し、おいしい野菜を育てられるのが


有機栽培だと考えています。



作りたがりを自他ともに認める私としては、経営の支障の出ない範囲なら作ることに


できるだけ関与したいと思っています。その一つに畑に入れる肥料は自前で作りたい


と思って続けてきました。


正直、自作の肥料で、成分上、微生物上、など何がよく作用しているのかはっきりは


断定できません。もしかしたら、もてあまる意欲が作用しているのかもしれません(笑)



しかし、野菜とて生き物、応えてくれるように感じます。


そんな想いが結果として結びついた時は生産者冥利に尽きます。


そんな瞬間を感じたくて畑にでているような気もします。






















2013年11月22日金曜日

農家の喜び



 自分の生命線はものの良さだと肝に据えながらやっています。


就農時、直販やマーケットの時間や手間を取ることで野菜の品質を上げることが自分は

困難だと考え、卸の販売形態に身を置きました。


生産団体の中で決まった規格、決められた時期に、良い商品を鮮度よく出荷することに

集中してやってきました。


12年やってきて、思うことがあります。


おいしい良い野菜が正当に評価されていない。


一昔前は有機農業の世界では、ものの良さで価値を計ることは浅はかだと思われる空気が

ありました。

最近では商品の良さはあくまでも一部で、見せ方や伝え方に重心を置く傾向も強くあるように

思います。


卸の世界では、味の良さや出来の程度で価値を計ることより、出荷数や卸価格で判断される

ことが多くあります。


しかし、買い手と売り手との信頼関係の根本は、野菜そのものだと考えています。


手品のように価値のないものをあるように見せる売り方や、出荷数や低価格が重視される


ような価値の計り方は全体の価値を下げかねないと思います。



たかが野菜ですが私から見ればその中には大きなふり幅があります。



単純においしい人参もあればおいしくない人参もある。


おいしい人参とおいしくない人参とでは、食べる方にとっては価値は大きく違うはずです。


持ちのいい野菜がいいはずでしょうし、虫食いもない方がいいと思うでは当然でしょう。


そんな野菜の価値を見直すと、まだまだ野菜のポテンシャルを伝えきれていないと思います。


おいしい野菜ってあるんです。



「あなたのカブ、この時期に出てくるだよね。楽しみに待ってるよ」


と言っていただける期待に素直に答えていきたい。



おいしいと感じてもらえるように生産し、出荷することに喜びを感じられる農業ができるように


 
していきたいと思っています。






























2013年3月31日日曜日

奇跡の野菜



      自分の農業への原動力は、「農家をやり続けたい」という思いです。



      子供の頃の、田舎で農家になる夢は今でも現在進行形でいます。





  その夢の実現のためには、野菜からお金を生み出さなくてはいけません。




  
  

  小さな種からお客さんのもとに商品(野菜)として届くまでは奇跡のような道のりです。





  土地もお金も経験も技術もないど素人がはたして商品(野菜)が作れるのか?




  畑、機械、設備の準備、売り先の確保から始まって品目、作型の選択、



  

  品種、株間、条間、仕立て方、換気、灌水、虫、病気、、、、。




  たくさん中から最良のものを選び、天候にも考慮し、出荷のタイミングも間違わずに




  買ってもらう相手の時期、量に合ってはじめて商品になります。




  
  さらにそのできた商品を継続的に買ってもらうことが必要で、それには安定的な品質と




  安定供給が求められます。




 
  ライバルになるプロの農家たちもお金を出して買ってくれる消費者も未経験者だから




   といって手加減してはくれません。





   農業といっても、そこにあるのは競争社会と淘汰の世界だと思います。



    

   
   
   どんな世界でも言えることでしょうが、仕事に対する情熱、経済観念を持ち、




   いい出会いやいいチャンスを見逃さず、与えられた仕事を責任をもってやることが




   大事なことだと感じています。




   そんな中では私自身12年やってもまだまだ風が吹けば消えてなくなるくらいの




   小さなか弱い存在です。




    
   
   もっとたくさんの人に必要とされるような存在になっていきながら、農業を続けられたら





   最高です。





   これからも奇跡が続くように日々の努力と精進が必要です。







   
   
   




   









  




  



  



  

2013年2月2日土曜日

留守の成果

カブは2条のシーダーで8条まき。

3女、爆睡。

1月19日播種、カブ発芽。




       この2日、出荷団体の婦人部の旅行で嫁が留守にしていたので大忙しでした。



   

   3度の食事、洗濯、風呂、もろもろの家事の合間での農作業でした。



   

   

   雨予報ということもあって、どうにか予定しているカブを蒔かなくては、、、。


   


   畑が乾いた午後、急いでトラクターで3女をつれてのランデブー。




   
   トラクターの振動ですっかり熟睡したしまったので、自分の上着で防寒して




   トンネルの通路に寝かせて、作業を済ませました。




   15時には次女のバスのお迎えがあるので、急いでトラクターで急行しました。




   すでに帰宅している小学生組に下の子達を任せて、




   「お父さんはカブを蒔いてきます。しっかりやることを終わらせていてください。」





   と言い残し、暗くなるまで播種機を押しました。




   
     
   帰ってくるとやることを終わらせたひよこ達がごはんをもとめてピイピイ鳴いて




   いるので、作っておいてくれたカレーを食べて、みんなで風呂に入って寝ました。




   時々、嫁に家事と育児を仕事としてみなしてもらってないと、愚痴られるけど




   家事も育児も立派な仕事ですよ。いなくなって、感じるありがたみ。




   畑に集中できてるのも嫁あってです。感謝、感謝。






   ※播種前、鎮圧ローラーしたことで畑の起伏がおさえられ、湿度と覆土が均一に



   なる。さらに、トンネルを密閉することで温度を保てるので、発芽が揃いやすくなる。



   発芽を揃えることは、収穫物を揃える大きな要素になります。